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title: "DiscordのE2E暗号化DAVEをSwiftから使うためlibdaveのC APIを直接呼び出した"
description: "DiscordのE2E暗号化プロトコルDAVEに、Swiftから対応できるかを検証しました。Discord公式のC++実装libdaveはフラットなC APIを公開しているため、Swift/C++ interopの実験的機能を使わず、標準のC interopだけでセッションの作成から破棄まで動かせることを確認しています。"
category: "Apple"
tags: ["Swift","Discord","C","SwiftPM"]
publishedAt: "2026-08-09"
lastmod: "2026-08-09"
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DiscordのE2E暗号化プロトコルDAVEに、Swiftから対応できるかを技術検証しました。結論として、Discord公式のC++実装[libdave](https://github.com/discord/libdave)が公開しているフラットなC APIを、Swift/C++ interopのような実験的機能を使わず、標準のSwiftPM `systemLibrary`だけでラップして呼び出せることを確認しています。

## DAVEプロトコルとエコシステムの現状

DAVE（Discord Audio & Video End-to-End Encryption）は、Discordの音声・映像通話にMLS（Messaging Layer Security）ベースのE2E暗号化を導入するプロトコルです。[プロトコル仕様](https://daveprotocol.com/)が公開されているほか、Discordは実装として[libdave](https://github.com/discord/libdave)というJS/C++のライブラリ群をオープンソースで提供しています。

Discordの音声機能を独自に実装するサードパーティのライブラリにとって、DAVEへの対応は避けて通れない課題です。主要言語のエコシステムを見ると、Python向けのライブラリは2026年1月にDAVE対応がマージ済み、JavaScript向けのライブラリも接続断や鍵のローテーション周りで報告されていた不具合が解消しており、いずれも一巡した状態です。

Swift向けのDiscordライブラリに至っては、DAVEやE2EEに関するissueを検索してもほとんど見つかりません。これは「対応が難しくて止まっている」のではなく「まだ誰も本気で取り組んでいない」だけなのではないか、という仮説を立てました。他言語が通った道筋がすでに見えている以上、後から取り組む側は試行錯誤の分を省けるはずです。

## libdaveはC++だけでなくC APIも公開している

最初の疑問は、C++で書かれたlibdaveをSwiftから呼び出すコストです。SwiftはC++との相互運用機能を持っていますが、テンプレートや`std::variant`など対応していない機能も多く、実験的な位置づけです。

libdaveのソースを確認すると、`bindings_capi.cpp`という形で、C++の内部実装をラップしたフラットなC API（不透明なハンドル方式）がすでに公開されていました。C++ interopの実験的機能を経由する必要はなく、SwiftPMの`systemLibrary`ターゲットでCヘッダーを取り込む、成熟した標準のC interopだけで事足ります。MLSの実装自体も、libdaveの内部で[mlspp](https://github.com/cisco/mlspp)（Cisco製、BSD-2-Clauseライセンス）に隠蔽されているため、MLSを自前で実装する必要もありません。

層として並べると、Swiftから見えるのはCヘッダーだけで、C++の内部実装やMLSの実装には直接触れない構造です。

![SwiftのexecutableTargetがsystemLibraryターゲットのCLibDaveを介してlibdaveのC APIを呼ぶ。その下のC++実装とmlsppにはSwiftから直接触れない](/images/posts/discord-dave-swift-libdave-c-interop/layers.svg)

## 最小限のPoCで検証する

検証用に、libdaveのC APIをSwiftから呼べるかどうかだけを確認する、小さなSwiftパッケージを作りました。`Package.swift`では、Cヘッダーを取り込む`systemLibrary`ターゲットと、それに依存する実行可能ターゲットを定義します。

```swift
// swift-tools-version: 6.0
import PackageDescription

let package = Package(
  name: "DavePoC",
  targets: [
    .systemLibrary(name: "CLibDave"),
    .executableTarget(
      name: "DavePoC",
      dependencies: ["CLibDave"],
      linkerSettings: [
        .unsafeFlags([
          "-L", "（libdaveのビルド出力）",
          "-ldave", "-lmlspp", "-lhpke", "-lbytes",
          "-lmls_ds", "-ltls_syntax", "-lssl", "-lcrypto", "-lc++",
        ])
      ]
    ),
  ]
)
```

`linkerSettings` に並んでいるライブラリの数が、この構成の実態をよく表しています。`dave` 本体だけでなく、`mlspp` とその依存（`hpke`、`bytes`、`mls_ds`、`tls_syntax`）、OpenSSL、C++標準ライブラリまで明示的にリンクする必要があります。C APIで表面が平らになっていても、下にぶら下がっているものは減りません。

`CLibDave`ターゲットの中身は、libdaveが公開しているC APIのヘッダーファイルと、それをSwiftに公開するための`module.modulemap`だけです。Swift側のコードは、ライブラリを触るのに必要な最小限の流れだけを書きました。

```swift
import CLibDave

let version = daveMaxSupportedProtocolVersion()

guard let session = daveSessionCreate(nil, "poc-auth-session", nil, nil) else {
  fatalError("daveSessionCreate returned NULL")
}

daveSessionInit(session, UInt16(version), 12345, "poc-user-id")
print("session protocol version: \(daveSessionGetProtocolVersion(session))")

daveSessionDestroy(session)
```

バージョンを取る関数が2つあります。`daveMaxSupportedProtocolVersion()` はセッションを作る前に呼ぶフリー関数で、ライブラリがサポートしている最大バージョンを返します。この値を `daveSessionInit()` に渡してセッションを初期化し、初期化後は `daveSessionGetProtocolVersion(session)` でそのセッションのバージョンを取得します。

実際に動かしたところ、この一連の呼び出しがクラッシュなく完走しました。`daveSessionCreate()` は有効なハンドルを返し、`daveSessionInit()` で内部のMLSセッション初期化が正常に進行し、`daveSessionDestroy()` まで正常終了しています。

「Swift/C++ interopの実験的機能を経由せず、libdaveのC APIをそのまま呼び出せる」という仮説は実証できました。不透明なハンドル型のライフサイクル管理も、標準のSwift/C interopだけで問題なく動作しています。

## まだ検証できていない範囲

今回のPoCで確認できたのは、セッションの作成・初期化・状態取得・破棄という、ライブラリを呼び出す骨格の部分だけです。実際のDiscord Voice Gatewayとの接続、MLSのproposal・commit・welcomeメッセージを使った鍵交換の実データでのやり取り、Opusフレームの暗号化・復号については未検証のまま残っています。

libdaveのC++ビルドはvcpkg経由の依存関係が数百MB規模になるため、CIへの組み込みやビルド時間は実運用に乗せる前に確認します。まずは骨格部分が動くことを確認できたところまでが今回の検証範囲です。

この続きとして、実際にボイスチャンネルへ接続してMLSグループへの参加を成立させ、他参加者の音声をRTP受信からパケットの復号、Opusデコードまで進めました。そちらは別記事で扱っています。

::card[/posts/discord-dave-voice-decrypt-swift]